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2011.05.04

前にすすんでいくために 真実を伝える大切さ

震災後、考えの整理がつかない日々をおくっている。

もちろん、それは私だけに限ったことではない。

「冷静に冷静に」「普段どおりに」「不安をあおるな」というものと、

「事態を把握できているのか」「もっと疑え」との揺れ。

わからないことが多すぎて、何がわからないのか、わからない。

そんなとき、毎週火曜日必読のコラム、毎日新聞東京版の香山リカさんのやさしく鋭い指摘に、わからないことが見えてきた気がする。

***
◇香山リカのココロの万華鏡:真実を伝える大切さ /東京
(2011/5/3毎日新聞東京版)
http://mainichi.jp/life/health/kokoro/news/20110503ddlk13070192000c.html

 あるテレビの討論番組に出たときのことだ。原子力を長年、研究してきた学者が、「福島の原子炉で何が起きているか、実は誰もわかっていない」と発言した。その学者の見解では、炉心の核燃料の多くがすでに溶融している可能性もあるのだという。東京電力の発表よりさらに事態は深刻、ということだ。

 それに対して、政府の側の政治家が「テレビを通して、いたずらに国民を不安に陥れるような発言をしないでほしい」と言った。たしかに、テレビを見ている人たちが必要のない恐怖、不安を抱くようなことは避けなくてはならない。

 しかし、本当にそれは必要ない「不安」なのだろうか。「不安」の中には、避けて通れないもの、積極的に必要なものもあるのではないか。

 医療の世界でも長いあいだ「とにかく患者さんが不安にならないように」というのが原則で、ときにはウソをつくこともあった。

 治る見込みがないがんなのに、医者が「良性です、すぐ治ります」と患者さんに告げるシーンが、いまでもときどきドラマには出てくる。それが“親ごころ”だと思われていたのだ。

 ところが、いまは実際には、そんな“ごまかし”はほとんど行われていない。最悪の想定も含めて、事実をなるべくそのまま患者さんに伝えるのが基本だ。たとえそれで不安、悲しみに陥ることがあっても、しっかりと事実に直面しなければ、医者も患者さんも次のステップに歩み出せない。医療の世界ではそう考えるようになったのだ。

 震災や原発事故をめぐる問題も、基本的には同じなのではないだろうか。「大丈夫です」「すぐに事態は収束します」「間もなく復興します」といったある意味で気休めにしか聞こえない言葉は、本当の意味では人々を安心させることはできない。たとえひとときは不安に陥ったとしても、わからないことはわからない、すぐにできないことはできない、と伝えてもらったほうが、私たちも次の手を講じることができるのではないか。

 「本当のことを伝えたら、国民が不安からパニックに」と心配する政治家もいるが、現代を生きる人間はそれほど弱くはない。診察室で「統合失調症ですね。長期にわたって治療が必要です」と真実を告知するとほとんどの人はショックを受けるが、間もなく事実をきちんと受け止め、自分なりに歩んでいくことができる。本当のことを教えないほうがいい、という“親ごころ”は時代遅れ。これは、医療でも政治でも同じだと思う。

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