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2011.05.03

今の時点で少数であること、矛盾があることを恐れない方がいい

4月に出版された『世の中の意見が《私》と違うとき読む本―自分らしく考える』(著 香山リカ 幻冬舎新書)に、ほぼ同様のことが書かれていたが、下記の語りに私がこの本のツボだと思ったことがまとめられている。

さらに、『〈不安な時代〉の精神病理』(香山リカ 講談社現代新書)を手にした。

『不安な・・・』も先月出た本。香山リカの出版ラッシュって、月1以上。。。

***

明日も喋ろう/(3)香山リカさん
asahi.com マイタウン兵庫 2011年05月02日
http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001105020002

香山リカ(かやま・りか)さん

 「日本は強い国」「日本は心を一つにして」――。

 いま、「震災ナショナリズム」とでも言うべき言葉が非常に強調されていますよね。一元的な価値観に傾いていくのではないかと、ある種の危機感を持って見ています。

 もちろん世界中では、植民地からの独立のときなど、心を一つに頑張ろうという機運が高まることはよくあること。今は日本もそれぐらいの危機ですから、「日本いい国、強い国」というシンプルなキーワード、スローガンにすがるしかない心理状態にあるとも言えます。私もそこまで否定したいわけじゃないんです。

 ただ、復興が進んで「やっぱり日本は優れた国だった」とか、原発の問題などで国際的な評価が下がったときに、「言わせておけばいい。日本はすごい国だから」といった、内向的なナショナリズムが高まることには慎重になりたい。根拠のない優越感は、弱者を排除する社会につながっていきますから。

 精神科医として弱い方に触れる機会が多いんですけども、どうして職を失い、心の健康を損ない、不幸な家庭で過ごしているのか。早い話、たまたま何かの弾みでそうなったとしか言いようのない人がほとんどなんですよ。

 誰もが明日は我が身で、傷つく側に回るかもしれない。そうなっても安心して生きていける社会であるように願うスタンスが大切だと思うんですね。

 ところが、バブル崩壊後、成果主義的な考えが企業だけでなく教育や医療の世界にまで浸透して、自分さえもうければよいというグローバル経済、強者が弱者に非寛容な風潮が社会で強まりました。

 近ごろはインターネットの発達もあって、人々は世の中が何をどう考えているのかの答え合わせを画面上で簡単にしてしまう。多数派側について安心したい心理とか、ブログ炎上を恐れて、空気を読んだような発言しかできなくなる。知らないうちに自分の身の処し方を大勢に合わせてしまう怖さがありますね。

 震災もそうですが、今起きていることは、かつての右、左の対立では到底答えが出ないテーマばかり。原発の問題に象徴されるように、今ネットで出ている答えが最終回答とは限らない。

 だから、今の時点で少数であること、矛盾があることを恐れない方がいい。それには違う立場の意見にも素直に耳を傾け、柔軟に意見を修正する、つまり変節にも寛容な社会でありたいですね。(聞き手・吉野太一郎)

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