害は除けなくても、希望を照らす ひまわりの力
震災後、ヒマワリが被災地をはじめ、全国各地に植えられるニュースを多くみてきた。
数十本は読んだと思う。
昨日、ヒマワリにセシウムの除去効果がほとんどみられないことが伝えられ、がっかりした人も多いはず。
私もそのひとり。
一夜明けた朝、話題にふれたコラム2つを読んで、考えさせられた。
色あせない希望の力。
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河北新報「河北春秋」(2011/9/16)
http://www.kahoku.co.jp/column/syunju/20110916_02.htm
農地のセシウムを除去する手段として、植物利用があることを以前、この欄で紹介した。しかし、ヒマワリでは効果が薄いと農水省の実験で分かった
▼最も効果があったのは土の表面を3~5センチ削り取ること。そうですか、ヒマワリは駄目でしたか。白旗を揚げたいところだが、少し待ってほしい。ニュース映像を見ると、実験は穴を掘って種をまいていた
▼種から上に根が伸びでもしない限り、これでは土の表面付近に多いセシウムを吸収できない。専門家が推奨していたのは、発芽させた種を土の上にばらまく方法だ。今度の実験だけで、植物利用が望み薄とは言えまい
▼今後2年間で、飛散した放射性セシウムは、放射線の強さが自然に3割減るという。雨などで土中に染み込むウェザリング効果でも1割減る。合わせて線量は4割減ると政府は試算している
▼線量の自然減少を言われても、住民のいら立ちは募るばかりだろう。線量の多い所や学校は表土を削る、農地はこの季節なら菜種を利用する―など、多様な方法を駆使した一刻も早い除染を住民は待ち望んでいる
▼農林省や環境省に除染の専門家はいないといわれる。大学や研究機関がそれぞれに除染のアイデアを出しているのが現状だ。英知を結集するリーダーシップを国が取らないのがもどかしい。
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東京新聞「筆洗」(2011/9/16)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2011091602000055.html
ヒマワリは、日回りの意であるし、漢字で書けば向日葵。英語でも、サンフラワーのほか、太陽を向くという意味のターンソールなる言葉で呼ぶことがある。だが、太陽を追って花が回るというのは俗説だそうだ
▼福島の原発事故以来、ヒマワリの種を福島に贈る運動が各地に広がった。避難者の中にも一時帰宅の際、種をまいた方があったと聞く。すべては、この花に放射性セシウムの高い吸収力があるといわれていたためだ
▼だが、ああ、それも俗説だったかと嘆息が出る結果だ。農水省による除染技術の実証実験で「効果は小さい」と。土壌から吸収したセシウムはわずか0・05%にとどまった
▼あの阪神大震災で自宅の下敷きになって亡くなった少女がいた。その跡地に半年後、一輪のヒマワリが咲く。少女が鳥の餌に与えていた種が落ち、奇跡のように芽吹いた花だった
▼それは少女の名から「はるかちゃんのひまわり」として地域で大事に育て、増やされ、神戸の復興の象徴に。今度の震災後は津波被災地にも種が贈られた。夏。背丈より高くなった花の下で被災者の一人は言った。「私もがんばらないとね」
▼<ひまはりのたかだか咲ける憎きかな>万太郎。農水省の実験結果に思わずこんな句も浮かんだが、思い直した。福島への人々の思いも、あの花の人を勇気づける生命力もそれで色あせるわけではない。
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【YouTube】太陽の種/熊木杏里
http://youtu.be/NyfkZQ5i7j8
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