福岡市のアンケートに障害者が猛反発
私は福岡県出身。
ソフトバンクホークスの熱烈なファンではないけれど、ダイエーホークスが福岡に来たときはうれしかったし、
日本一に輝いた今年、その盛り上がりのなか、街がどうなるか注目している。
そんな矢先、手法も内容も疑問のある行政アンケートのニュースが飛び込んできた。
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福岡市:アンケートに障害者抗議「福祉手当廃止ありき」
(2011/11/27毎日新聞福岡版)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111127k0000e040004000c.html
福岡市が「重度心身障がい者福祉手当」の見直しを巡って実施した受給者対象アンケートに、障害者たちが猛反発している。「選択肢が意図的で、手当廃止ありきとしか思えない。自由記述が多く、筆記不能の重度障害者は回答自体できない」としてアンケート撤回を申し入れた。しかし、市は「説明を読めばアンケートの意義は理解してもらえる」などとして撤回を拒否。障害者対象アンケートの問題点を探った。【徳野仁子】
「アンケート撤回と謝罪を求める」。先月25日、障害者の生活と権利を守る福岡県連絡協議会会長を務める石松周さん(62)らは、福岡市役所で12人の連名による抗議文を読み上げた。秘書課職員が「市長に伝えます」と受け取ったが、市は後日「撤回しない」と石松さんたちに伝えた。
同手当は、身体障害者手帳1級所持者らを対象に年間1万5000~2万円を支給し、09年度事業費は約3億5000万円。同年の市事業仕分けで「より効果的な障害者福祉事業に振り替えるべきだ」などとされ、「手当廃止」の意見となった。これを受け、市は今年8~10月、受給資格者約1万9000人にアンケートを実施。実際に廃止するかを議論する市社会福祉審議会の検討資料にする予定だが、このアンケートに障害者側が反発した。
アンケート自体は1枚で設問は5問。「福祉手当のあり方」を尋ねた設問では「予算を全部、別の障がい者施策の充実に充てる」「他の障がい者施策は充実しなくてもよいので、福祉手当を継続する」などの選択肢が並び、福祉施策拡充と手当継続の両方を求める選択肢はない。また、福祉手当の予算をどんな福祉事業に振り替えるべきかの検討材料となる、受給者の社会参加状況などを測る設問もない。
日本社会事業大の佐藤久夫教授(障害者福祉政策)は「非常に偏りのある選択肢で、これを検討資料とすることは見識が問われるだろう」と指摘する。
アンケート回答方法も障害者側は問題視した。自由記述が多いため筆記できない重度障害者は回答できず、視覚障害者用の点字文書もなかったためだ。
抗議の後、市は視覚障害者約220人に点字アンケートを発送。市議会委員会で井崎進保健福祉局長は「配慮が欠けていた」と認めた。しかし「意図的」とされたことについては、「アンケートには、事業仕分けの結果を周知し、意見を募る趣旨もある」(市障害者在宅支援課)とし、設問変更はしていない。
石松さんは「正確な回答を引き出すにはどうすべきか、良識的に考えれば分かるはず。紙1枚に何もかも入れ込み障害者の人格を冒とくしている」と憤慨。佐藤教授は「自力回答が難しい人には、民生委員などに協力依頼するなど、回答方法の選択肢も保障すべきだ」とも述べた。
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丁寧さ、配慮を欠いた「上から目線」。
そもそも、私は流行りの「事業仕分け」の手法もおかしいと思っている。
当事者もいなければ、その背景も語られずに、無駄かどうかだけが論議される。
「私たち抜きに私たちのことを決めないで」
最近の障害者運動のスローガンでもある。
これは、障害者福祉だけではなく、生活保護や保育など、岐路に立つ施策にも大切にすべき視点ではないか。
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