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2011.11.20

朝のいいところ

私が子どもだったころ、

日本各地の朝の様子が次々にリレーされ、

その勢いが一定おちつくと、詩が読まれた。

「ズームイン!朝」の流れ。

どうして、あの詩のコーナーはつまらないんだろうとも思った。

そして、いつの日か、その詩は読まれなくなった。

今思えば、朝から静けさがまた一つ、なくなったということなのかもしれない。

***

しあわせのトンボ:朝は一行の詩=近藤勝重
(2011/11/18毎日新聞東京夕刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/kondo/news/20111118dde012070037000c.html

 朝はいつも違った顔をして現れる。

 空の端がまだ白い時刻に目を覚ますと、窓がしだいに赤みを帯びてくる。そんな日は朝焼けである。海沿いに住んでいるので、海の青と画するように赤紫色が帯状に長くたなびいている。日が昇るまでの風趣である。

 この季節は、霧が立ち込めて東天を淡く染める暁もあれば、露が下り、草や木の葉が朝日に光る暁もある。朝のよさは季節を問わないものの、窓を開けた途端、流れ込んでくるひんやりとした空気とともに目覚めるのは、秋の朝ならではの心地よさだ。

 谷川俊太郎氏の詩「朝の光」にこんな言葉がある。

 繰り返すものはどうしていつまでも新しいのだろう/朝の光もあなたの微笑みも/いま聞こえているヘンデルも……/一度きりのものはあっという間に古びてしまうのに

 そうだなあ、と感じ入り、朝のいいところは、と自問して次の三つが思い浮かんだ。

 光

 空気

 静けさ

 どれも説明を要すまいが、静けさということでは、つい先日、こんな体験をした。

 早朝、玄関先でカタッと音がした。朝刊が玄関ドアの郵便受けに差し込まれた音である。すでに目覚めていたのだが、その物音を耳にして、それまで以上に静けさが感じられた。

 言うまでもなく静けさとは物音一つなく、しんと静まり返ったさまである。それなのに物音がして、さらに静けさが感じられるというのは……とちょっと奇異な気持ちが絡んだが、物事というのはそういうものだ、とすぐに納得する自分がいた。要は相反するものや別の側面から照合されることによって、そのものの本質がより鮮明に浮かび上がるということだろう。

 光の中に光はない。闇の中に光はある。静けさの中に静けさはない。物音の中に静けさはある……。つぶやきながら起き上がり、新聞を取りに行った。

 やはり谷川氏の「朝」と題した詩は、こんな言葉で終わっている。

 インクの匂う新聞の見出しに/変らぬ人間のむごさを読みとるとしても/朝はいま一行の詩

 手にした朝刊の見出しにはむごさだけでなく、切なさも、やるせなさも漂っていたが、その日の朝も新しい一行の詩があった。(専門編集委員)
***

朝のいいところ。

昼のいいところ。

夜のいいところ。

今日のいいところ。

何がなかったか、よりも、

いいところを探してみるのも、悪くないよね。

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