報道すれば出入り禁止に? 繰り返さないために 忘れないように
あきれるというか、信じがたい発言だった。
防衛局側がよびかけた居酒屋での懇談会。
オフレコ前提のものだったとはいえ、何でも言っていいというわけではないだろう。
***
◇防衛局長不適切発言:「知る権利」優先 本紙、オフレコ懇談報道/沖縄
(2011年11月30日琉球新報)
米軍普天間飛行場の移設問題に関する田中聡沖縄防衛局長の県民を侮辱した問題発言は28日夜、那覇市内で開かれた報道陣との非公式の懇談会であった。関係者の発言内容について記録、報道しないことを前提とした「オフレコ」形式の懇談だったが、琉球新報は読者に伝える責任があると判断して報道に踏み切った。識者はオフレコの原則よりも「国民の知る権利が優先される」と指摘する。
懇談会は各社負担する会費制で、県内外の9社の記者が参加した。午後8時ごろから始まった懇談は、テーブル中央に座った田中局長を記者が取り囲み、飲食を伴いながら、基地問題について意見を交わした。
政府が年内提出を予定する環境影響評価(アセス)の評価書提出問題に話題が移った時、本紙記者が「政府はなぜ『年内提出する』と明言しないのか」と問いただした。すると、田中局長は女性を乱暴することに例えて「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」と応じた。田中局長は、1995年の少女乱暴事件後に、「レンタカーを借りる金があれば女が買えた」と発言し更迭されたマッキー米太平洋軍司令官(当時)の発言を自ら話題にし、肯定する言いぶりもあった。
公表を前提としないオフレコ内容を報道したことについて、沖縄防衛局報道室は「(懇談は)オフレコだ。発言は否定せざる得ない」とした上で、「(公表すれば)琉球新報を出入り禁止することになる」と警告してきた。
専修大学の山田健太准教授(言論法)は「メディアはオフレコを守る信義則はあるが、国民の知る権利はそれに優先される」と指摘。「全ての取材は報道する目的で取材するのが原則だ。公人がメディアに対する時、その後ろにいる国民に対して説明責任を果たす認識が必要だ。公共・公益性があると判断した場合、メディアは報道する原則に戻るのが大前提となる」と話している。
***
私は都内の居酒屋でアルバイトをしたことがある。
ここで書けないような、少なくない男性客から東南アジアの人や女性を蔑視した言葉が発せられることが何度もあった。
当時は20歳ちょっとだったし、その汚さに衝撃も受けた。
比較はできないが、今回のそれは、その人の担当する職務・公務にかかわる中心課題での発言。
この発言は極めて大きな問題だ。
あわせて、田中氏にそう思わせている政府と政権こそ、許されないのではないか。
私は95年のあの事件当時20歳を迎える年。
沖縄の抗議集会で「平和な島を返してください」と訴えた高校生の言葉。
テレビニュースでふれ、その後の進路に影響も受けた。
あれから16年。
そのメッセージに応えきれないまま、今を迎えていることが情けなくてたまらない。
発言の内容が内容だけに、知り合いのブロガーなどはふれていないようだ。
でも、誰かが言わないと、書かないと、それはなかったことになる。
こんな事実があった、こんな思いを持ったんだと。
オフレコじゃなくなったのに、オフレコになってしまう。
それではまた繰り返すし、繰り返してきたから。
また忘れてしまわない?
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