「聖なる夜と放射線 この子の未来を祈る」
丁寧な構成で定評のあるドキュメンタリー番組NNNドキュメント。
2011年の最後の放送は注目の内容。
また、2012年の1月初旬には異例の再放送が早朝に4回続く。
テレビを中心に、震災関連の報道が大きく減っているなかで、問われているのは何か。
考えあいたい。
***
日本テレビ系 NNNドキュメント「聖なる夜と放射線 この子の未来を祈る」http://www.ntv.co.jp/document/
2011年12月25日(日) 25時50分~26時45分
3・11大震災 シリーズ 25
見どころ
原発事故が家族の日常を奪った。降り注いだ放射性物質の不安と恐怖に、家族が揺れている。福島市・渡利地区。家のリビングに柵を設け、1歳半の娘がその柵から出ないように子育てしている家族がいる。そこが家の中で最も線量が低いからだ。親兄弟など、身を寄せて避難できる場所はない。仕事を辞めたら食べてはいけない。自主避難者も多い中、避難したくても出来ない現実に揺れている。一方、小学校6年生の一人娘を、ひとり遠く離れた福井県に避難させた親がいる。少女は過疎と高齢化が進む集落にホームステイし、地元の小学校に通う。介護の仕事をする両親は福島を離れられない。なぜ家族がバラバラに…。中学進学はどうするのか?子供達の未来を守るための選択と決断をカメラは見つめる。
内容
福島第一原発の爆発。まき散らされた放射性物質による子供達の健康被害が心配されている。国の安全基準は『20ミリシーベルト/年』。今回の事故で国が定めた被曝の上限だが、自然界からのそれを除く一般人が1年で受けていい数字の20倍だ。
これを子どもにも適応させていいのか…不安は大きく、見えない恐怖に怯えながら暮らしている家族が多い。20km圏内の警戒区域に帰れる未来は、いつなのか?計画的避難区域の線量は安心できるレベルになるのか?
約60km離れた福島市や郡山市など、県内では特に人口が多い中通りの市町村の土壌も放射性物質に汚染され、線量の高い地区が存在する。
自主的に避難を決めた家族、子供と親が離れて暮らす家族、住み慣れた地に残る家族、それぞれの選択をした家族を通して、「放射線」に怯える日々の苦痛を考える。
目に見えない放射線に翻弄され、我が子の未来をどう守ればいいのか・・・親の切なる思いを全国の人に知ってほしい。
『避難したくてもできない』1歳半の娘と親 福島市
●1歳半の娘を持つ親。家は福島市でも線量の高い渡利地区。福島市を離れたいが、経済的状況を考えると避難できない。
父親の実家は石巻で津波の被害をうけ仮設住宅で暮らしていて、身を寄せられない。
母親の実家は南相馬市、緊急時避難準備区域の規制は解除されたが、原発に近づく場所には住む気になれない。
現在も窓を閉め切り、1歳半の娘を外に出す事が出来ない。家の中で一番線量の低い区域に柵を設け、そこから娘がでないようにしながら子育てをしている。
それでも、その場所は0.6μSv/h=18歳未満が働くことができない放射線管理区域の積算放射量を超える。何度か自主的に家を除染したが、数値は下げ止まったまま。
狭い柵の中で娘と添い寝する妻のすぐ脇で、夫は公開される線量のデータをにらみ、やはり避難すべきか悩む日々を送っている。
『娘だけ福井へ避難』親子離ればなれの決断 南相馬市
●この夏、小学6年生の娘を福井市の郊外に疎開させた親がいる。家は緊急時避難準備区域の南相馬市。娘の小学校は原発から20km圏の少し外側。規制以来、30km圏外の小学校にバスで通っていた。あれ以来、のびのびと子供たちが外遊びで笑顔を見せることはない。疎開先で見た娘の姿に決心をする。「2学期から娘ひとりを福井県に避難させる」と。
福井市郊外、過疎と高齢化が進む地区。その一軒へのホームステイを娘も受け入れた。両親は共に介護の仕事につき、南相馬を離れることができない。家族が離ればなれに暮らす決断・・・寂しく、悲しい現実に押しつぶされそうになるときもある。
2011年、最後の放送となるNNNドキュメントは原発事故がもたらした見えざる恐怖に翻弄される家族の姿を通じ、子供達の未来を思いやる心と、家族がどうあるべきか?迫られる選択と決断から、家族の絆を描きたい。
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