新聞で漢字の「絆」はどれだけ、なぜ使われたか
絆、その活字利用の変化と理由について、福岡を中心としたローカル紙の指摘もおもしろい。
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コラム「春秋」
西日本新聞で漢字の「絆」がどれくらい使われたかをデータベースで調べてみた。昨年は290回ほどだった。今年は千回を超えた
▼増えた理由は二つある。一つは、日本新聞協会が用語集を昨年11月に改訂し、国の常用漢字表には載ってない「磯」「絆」も使うようにしたためだ。それまでは、使う場合はルビを振っていた
▼二つ目の理由は誰でも知っている。東日本大震災が「絆」を感じさせる光景を多く生んだ。復旧・復興支援のボランティアらが被災地をどれだけ元気づけたことか。全国から届く善意が被災者をどれだけ励ましたことか
▼古来、絆は日本社会の土台のところを太く支えてきた。貧しい時も苦しい時も向こう三軒両隣の助け合い精神が列島各地で発揮された時代が長くあった。世界を驚かせた焼け野原からの復興もそのことを抜きに語れない
▼マネー万能などの風潮が人と人の関係を寒くして久しい。絆という漢字が、一般の社会生活で使う目安となる国の常用漢字表にないのが何やら象徴的だった。ちなみに昨年までの本紙では、漢字の絆を使わずにひらがな書きにした例も多かった
▼昨年は「無縁社会」が流行語になり、今年を映す漢字には「絆」が選ばれた。日本は発展と引き換えに、自然の風景ではさっき触れた磯がそうだが、精神風景では絆を細らせてきた。細く見えても、どっこい根は生きていた。根をもっと広げよう。新聞の願いです。
=2011/12/14付 西日本新聞朝刊=
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数日前に、「絆」の大事さは認めつつも、その強調は危ういとも書いた。
また、やや違う角度で、朝日新聞ではこの5回ほど、「弧族の国」第4部「女たち」を連載。読むと、地縁・血縁・固定観念としてのしがらみ、絆の副作用もみえた。
いずれにしても、「絆」について考えさせられる年の瀬を迎えたということ。
〔Youtube〕「絆」 ダークダックス
http://www.youtube.com/watch?v=7yaPuHmn63E
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