被災地や避難先の子どもたちへ北斗星の贈り物
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20年ほど前の今ごろだった。夜に郵便局員が、わが家を訪ねてきた。「お宅に○○ちゃんという子どもさんはいますか」「ええ、何か」
▼郵便局員は小さな封筒を差し出した。宛先には「サンタクロースさんへ」としかなかった。裏に平仮名で娘の名前。郵便物の仕分け中に見つけたという。投函されたと思われるポストの場所と名前から、わが家を探し当ててくれたのだった
▼当時、幼稚園に通う娘の欲しい物が分からず困っていた。知らないうちにサンタに手紙を書き、投函していたとは。「プレゼントの参考にしてください」と郵便局員。開封すると、中の紙片には欲しいおもちゃが記されていた
▼娘だけでなく親にとっても、郵便局員は一足早くやってきたサンタだった。“サンタは本当にいる”と教えてくれる有名な話がアメリカにある。「サンタクロースはいるんでしょうか?」と新聞社に手紙を出した8歳の女の子の話だ
▼「この世の中に、愛や、人への思いやりや、真心があるのと同じように、サンタクロースも確かにいるのです」。新聞社は社説でこう答えた。目には見えなくても本当にあるもの。大震災を経験した今年、そこに「絆」も加えたい
▼クリスマス商戦はこの土、日がピークとか。おもちゃ売り場はにぎわうだろう。しかし大震災はそこにも影を落とす。仮設住宅や避難先でクリスマスを迎える子どもたちも多いはず。胸が痛む。そんな子どもたちみんなにも等しくサンタが訪れるよう心から願う。
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2011/12/17秋田魁新聞コラム「北斗星」より
東北のなかでも、震災の被害がほぼなかった秋田の地元紙のコラムからの贈り物。
プレゼントが毎年あったのに、今年はこないとなると、正体もばれてしまうもの。
仮設住宅や避難先の子どもたち、また被災していなくても所得の低い家庭の子どもたちのことを想いたい。
最近は「貧困」が新聞記事になりにくいとも聞く。
あと1週間。
私たちが岐路に立った年もいよいよ幕を閉じて、明るい年へ必ず。
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