2011年、コラムが指摘する「今年の人」は?
***
コラム 筆洗(2011年12月16日 東京新聞)
毎年この時期に、米誌タイムが選ぶのが「今年の人」。二〇一一年は、個人でなく「抗議者」だそうだ。ついでに、ここ何年かの選出結果を眺めてみたら、妙につながりがあって少し驚いた▼まず〇六年。この年も個人ではなく「あなた」。インターネットの会員制交流サイト(SNS)など、情報技術を駆使し、世界を変える原動力へと急成長した個人ユーザーを指す▼翌〇七年は、ロシアのプーチン大統領(現首相)。〇八年のオバマ米大統領、〇九年、米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長ときて、昨年が、SNS最大手「フェイスブック」の若き創業者ザッカーバーグさん▼今年の「今年の人」となった「抗議者」の代表は無論、専制的体制をデモなどで倒した「アラブの春」の民衆だ。米国の「ウォール街」デモや、最近のロシアでの「反プーチン」デモなども含めてとらえたという▼プーチン氏は当然、オバマ、バーナンキ両氏も「格差」については抗議される側。そして、これらのケースで悉(ことごと)く、本来バラバラな民衆の不満糾合に威力を発揮したのがフェイスブックなどのSNSだ。かくて、世界を変える存在としての「あなた」は「抗議者」に重なる▼今年は日本でも、あの事故以後、「脱原発」のうねりが広がり、デモが相次いだ。蓋(けだ)し、ここでも、社会を変え始めている「あなた」「抗議者」である。
***
「今年の人」は?
あの人、あなた、そして私。
つながっているかもしれないし、今後、その実感と広がりは?
来年の今頃、「今年の人」は、誰になっているだろうね。
« 単に見えているものを見ているだけではなく | トップページ | 保育の新制度案を称賛する毎日新聞に強い違和感 »
「社会」カテゴリの記事
- 「たつ年」あけましておめでとうございます(2024.01.01)
- ハラスメント防止にむけて 講義を踏まえて認定試験を受けました(2022.12.24)
- 赤、青、黄、緑、桃、ジェンダーという壁を振り返ってみる(2022.06.04)
- 11人の教師が関与し53件のパワハラが認定された北海道立高等看護学院の闇を追ったテレメンタリー「やっぱり、看護師になりたかった...」(2022.05.22)
- 就職したばかりだけど、職場がおかしいので退職したいという人へ(2022.04.16)
コメント