新しい希望に築こうという新しい希望に気づこう
新しい年がスタートして、よかったこともあれば、失敗もある。
でこぼこした道があって、前に進もうとすることを躊躇することも。
年が明けて20日以上もたって、年末に刻まれたメッセージがとても響いた。
心の奥底に。
***
さあこれからだ:/20 新しい希望を築こう=鎌田實
http://mainichi.jp/life/kamata/news/20111231ddm013070017000c.html
(2011/12/31毎日新聞)
3月11日、日本は
大きく変わってしまった。
お前はどんな気持ちなのか。
牛に問いかけてみた。
何も答えない。ただ、ただ
牛は寂しそうな目をしていた。
牛は何も悪くないのになあ。
25年前、チェルノブイリでは
大地が汚れ、草が汚れ
その草を食べた牛が汚れ
ミルクが汚れた。
汚れたミルクを飲んだ
約6800人の子どもが
甲状腺がんになった。
牛は悔しいだろうなあ。
命はつながって生きている。
無数の生命が
生きているこの大地を
ぼくたちは汚してしまった。
怒りと悲しみを
ごちゃごちゃに背負いながら
ぼくは東北に通い続けてきた。
3歳の子を亡くした石巻の
若いお母さんは
自分の悲しみを横に置いて
被災した人たちの
めんどうをみていた。
9カ月たった今ごろになって
つらくて、悲しくて、眠れずに
泣き続けている。
胸が苦しすぎて、今は
涙も出なくなったと言う。
なかなか力になれない。
悔しい。
南相馬の若いお父さんと
流された彼の家の跡の
冬の海の前で2人で話した。
「雪が降ってきた。
春になったら
全国からボランティアに
来てもらって、
もう一回、行方不明の
子どもを探そう。そうすれば
心の決着がつくかも……」
と、僕はポツリと言った。
「心の決着なんてつかない。
なんで2人の子どもを
救ってあげられなかったのか
多分、一生、自分を
責め続けるだろうな」
傷は深い。
あかあかと開いた心の傷口は
まだ触れることもできない。
東日本大震災で
多くのものを失った。
家や自動車や船や学校や会社。そして、家族や仲間。
世界は変わってしまった。
しかし、しかし、しかし
被災したにもかかわらず
99%は自分のために
生きながら、1%は、もっと
つらい人のために生きようと
もがいている人がいる。
いろんなモノは失ったけど
優しい心は失っていなかった。
被災地に多くの応援が入った。新しい絆ができた。
日本中があったかくなった。
みんながちょっと相手の
身になって考えられると
家庭も職場も被災地もこの国も
あたたかな血が通いだす。
すべてを失ったときなのに
大切なものが見えてきた。
不思議だ。
町は少しずつ復興へと
歩み出している。
仮設商店街でラーメン屋さんを
再開した人がいた。全員
家を津波で失った人を雇った。仕事が見つかった人は
元気になり出していた。
困難を生き抜くためには
働く場と愛する人が
必要なのだ。この先、東北は
必ず、よみがえるだろう。
でも、でも、でも
大津波がすべてのものを
さらっていった、あの光景を
ぼくたちは忘れない。
すべてはここからはじまる。
復旧でもなく、復興でもなく
明るい創造。未来をつくろう。
アラブの春が吹き荒れた。
ヨーロッパが土俵際にいる。
アメリカも元気がない。
グローバリズムと
金融資本主義に翻弄(ほんろう)されて
日本的な経済システムも
壊れかけている。
個人主義が広がり
競争至上主義が暴れまわり
価値観は多様化している。
みんなが満足する
オールマイティーの
解決策なんか見つからないが
ニヒリズムの空気に負けない。
経済の寒波に凍えながら
ぼくたちは新しい希望を
築いていく。
2011年が終わろうとしている。
いい年だった人も
つらい年だった人も
一度立ち止まって、今
この一年を振り返ろう。
チャレンジをしたけど
失敗した人。
傷つくのが、怖くて
閉じこもっていた人。
だれかのために、働きたいと
思いながら
何も、できなかった人。
それでも、新しい年は
すべての人にやってくる。
年の瀬の今日、自分に
言い聞かせた。憎しみや
悲しみは横において、いつも
だれかのために汗を流し
先のことを、恐れることなく
肩の力を抜いて、生きていく。
相手を変えようと
するのではなく
相手の身になり
相手を思いやる。そんな自分に
変わってみようと思う。
新しい年は、もうすぐ
やってくる。すべての人に
良い年でありますように!(鎌田實)
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