大阪市が子どもの人権を崩す認可保育所の詰め込み保育を推進へ
政権交代は2009年夏。
「チルドレンファースト」を掲げながら、直後から保育所の子ども一人あたりの面積基準を切り下げる検討が始まった。
2010年5月23日の毎日新聞は、当時の長妻厚生労働大臣の姿勢を報じている。
『「子どもの昼寝に敷布団が必要か? 床に直接寝かせればいい」。長妻氏は担当部局と保育所の設置基準面積の緩和を議論した際、そう言い切ったという。子どもを床に雑魚寝させれば1人当たりの基準面積を小さくでき、その分保育所を増やすことができるとの趣旨だった。出席した幹部はみな、あっけにとられた。』
この影響もあったと思われる。
このあと、民主党政権は、前政権ができなかった施策に手をつける。
東京や大阪などの待機児の多い35の自治体に面積基準の切り下げを2012年度から3年間認める決定を下したのだ。
しかし、その解禁の年度を目前にした今も、大半の自治体はこれまでの子ども一人あたりの面積を保障する立場で、切り下げを決めてはいない。
橋下市長が率いる大阪市を除いては。
大阪市は、3月17日の朝日新聞大阪版の報道によれば、
***
◇保育所の面積基準緩和提案へ 大阪市
2012年03月17日(朝日新聞大阪版)
http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000001203170001
待機児童解消のため、大阪市は4月から、児童福祉法の特例を使って認可保育所の保育室面積の最低基準を緩和する。関連条例案を開会中の市議会に提案することを、16日の議会運営委員会で説明した。
これまで0歳は1人あたり5平方メートル以上、1歳は3・3平方メートル以上、2~5歳は1・98平方メートル以上だった最低基準を、一律1・65平方メートル以上に緩和する。
市内の待機児童数は昨年4月現在で396人。市は基準緩和で認可保育所384カ所の受け入れ人数を増やす方針。
***.
と、大幅な切り下げをしようとしている。
これを「詰め込み」ではなく、「基準緩和」などと言っては、本質が見えなくなる。
詰め込んで入所できる人数は増えるが、詰め込まれた影響はどうなのか。
国が認めたにもかかわらず、それでも、他の自治体がやっていないこと。
詰め込み保育にどんな懸念があるのか。
検証した動画(約15分)を観ていだきたい。
春分の日、卒園シーズンを迎えている。
「子ども・子育て新システム」へと、国の保育制度も転換させる動きもあるなかで。
保育所の職員、保護者だけでなく、マスコミ、政治・行政、そして、私たちおとなの姿勢と責任が未来に向かって問われている。
「子どもの昼寝に敷布団が必要か? 床に直接寝かせればいい」、厚生労働大臣がそう言い放ったことや、議論の経過や背景、ねらいと影響を考えるべき時ではないだろうか。
これでいいのか。
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