女性差別を考える憲法記念日
男女が憲法上平等になって、六十数年。
法律上、たとえば雇用関係では、まだ30年もたっていない。
男女雇用機会均等法から。
表面上の差別はなくなったことになっているけれど、そんなことはない。
そして、最近やっと「ひとり親家庭の貧困」「女性の貧困」が指摘されるようになった。
世間の目が向かうようになったのはここ数年だろう。
私のまわりでは、非正規など差別的な雇用の話はよく聞く。
大手メディアではなかなか知ることができないけれど。
さらに歴史として知らされていないのは、大手企業で行われてきた女性の雇用差別、かつてからあったオッサンらによるセクハラのすさまじさ。
福祉や保育の仕事も、「女の仕事」として低待遇に置かれている要素や歴史がある。
が、それも若い世代を中心に、保育士であっても知らない人が多い。
知らない、教えない、気づかない。
それでは、事態は改善されない。
謙虚に私たちの置かれている構造を学び、関係性を知り、自らの立ち位置を確認して、準備を重ねて、足を前に。
数年前に、10年におよぶ長いたたかいでやっと決着がついた裁判も。
差別の概要は、下記リンク先の「新聞記事から」をぜひ。
住友金属男女差別裁判を勝たせる会
http://www.k2.dion.ne.jp/~sumikins/
香山リカさんのコラムを読みながら考えた今日は憲法記念日。
政界も、小宮山大臣以外に、女性が映る機会はほとんどなくなったような気がしますが。
***
香山リカのココロの万華鏡:まだまだ女性は… /東京
毎日新聞 2012年04月24日 地方版
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20120424ddlk13070225000c.html
「女の時代」と言われて長いが、本当にそうなのだろうか。そんなことを最近、改めて考えている。
大学で新4年生の就職活動が正念場を迎えていることも関係している。教員から見て「優秀だな」と思う女子学生も、なかなか良い結果を出すことができない。もちろん、この時代、男子学生にとっても就職活動はたいへんなのだが、「大手はむずかしそうだから、中小企業やベンチャー企業にも目を向けます」から、「やっぱり正社員は無理だったので、派遣社員としてがんばります」と元気だった女子学生がだんだん沈んだ顔になっていくのを見るのはつらい。
そして、せっかく希望の職場に入社できても、3年後、5年後に卒業生の女性から「退職することにしました」という連絡を受け取ることも多い。「同期で入社して同じ仕事をしているのに、海外勤務とか重要な仕事とか、男性が優先なんですよ。女が働くのって、思ったよりずっとたいへんですね」と、彼女たちは“目に見えない女性差別”の壁にぶつかり、疲れ果てて会社を去る決意をする。
かくして、はつらつとした女性も大勢、入社したはずなのに、はっと気づいたときにはどの職場でも「役員は全員、男性」「部長級は女性がひとりだけ」といった“おなじみの光景”が広がっている、ということになる。
「そんなの、ただの思い込みだよ」という人もいるかもしれないが、国際的な指標もそれを裏付けている。11年の世界経済フォーラムで発表された「男女平等指数」では、日本はなんと135カ国中、98位だった。上位には北欧などヨーロッパの国が並ぶが、米国は16位、中国は61位というのを見ても、日本の女性が“不平等”の状態にあることは明らかだ。日本の場合、政治や経済の場で「意思決定に携わる女性リーダーは約9%しかいない」ということが、大きく順位を下げる要因になっているそうだ。
「女性の力」のすごさを認めない人は、いまどき誰もいないだろう。しかし、日本はそれをうまく活用することができていないのだ。これは、政治や経済だけではなく、地域でも家庭でも同じこと。「どうせわかってもらえないから、やめておこう」と力を発揮するのをやめて引き下がる女性が大勢いるのは、本当にもったいない話だ。
「女ってさ、こんなものだろう」「なんだかんだ言っても、女の幸せはね」と、女性のことをすべてわかったように話す男性には、まずこう言いたい。「あなたは、妻や娘の気持ちに本当に向かい合ったことはありますか?」
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