ボックスが記憶代わり、結びは・・・
この人のコラムが毎回楽しみで。
今回も、やってみようかなと思ったり。
特に、結びは深いなぁと。
***
しあわせのトンボ:ボックスが記憶代わり=近藤勝重
(毎日新聞 2012年07月27日夕刊)
http://mainichi.jp/opinion/news/20120727k0000e070183000c.html
知りたい知識や情報は、パソコンやスマートフォンで検索すれば簡単に手に入る。しかし、あれは……と自らの体験や見聞したことを思い出そうとしても、なかなか思い出せない。脳の長期記憶に収まっているはずなのだが、記憶を引き出す機能は年々衰えていくようだ。
同年配のある人にそんなグチをこぼすと、「年をとったということですよ。仕方ないでしょ」と慰められた。
確かに年のせいだろうが、さっき思いついたことや、ひと月前に読んで感動した本が何の本だったかも怪しくなると、さすがに不安を覚える。
脳トレも考えたが、それより体験したことまで消えていく記憶を何とかとどめる手立てはないものか、と考えてボックスの活用を思い立った。
ホームセンターで買ってきた3段タイプのカラーボックス二つと、そこに入れるインナーボックスを組み合わせて、6種類の情報が収納できるようにした。そして、散歩の途中などに思いついたあれこれを忘れないうちにメモして入れておく「ひらめき/アイデア」ボックス、共感、感動を覚えた自らの体験、見聞をはじめ、本を読んでいて心に響いたくだりや一言をメモ書きして入れる「共感/感動」ボックス、コラムのネタになるな、と思った事柄を収める「コラムのネタ」ボックス……などとそれぞれ表示して分類し、情報をためていった。
すると、「コラムのネタ」のボックスを引き抜いて中のメモ類を見ているうちに、うん、これならいけそうだ、このネタで書いてみようと思ったり、夕刊編集部の企画会議に毎週提出するネタも、「ひらめき/アイデア」ボックスから選んだり、結構活用できることがわかった。
ネットで検索して得る人まかせの情報と違って、これらはすべて自分の手でじかに得た情報なので、使い勝手が実にいい。かつ、それまで思い出せなかったこともボックスを引っぱり出してのぞけば、たちまちよみがえってくる効果にも気をよくして、今やボックス数は自作も含む川柳、俳句の「5・7・5」や実践中の「健康法」……と増え、18にもなっている。
文章にしろ、作句にしろ、生み出される作品は花と土壌の関係によくたとえられる。ボックスの情報、すなわち土壌は時々ふるいにかけるなど手を入れ、改良して、少しでもいい花を咲かせれば、と思っている。(専門編集委員)
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