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2022年4月の記事

2022.04.23

もし自分の職場でハラスメントが起きたら… 映画「ある職場」

3月に、映画「ある職場」を鑑賞しました。

映画「ある職場」公式サイト
https://arushokuba.com/

職場で起きたセクハラをめぐって、保養先を訪れた人たちがやりとりを重ねるなかで、人間関係が揺らぎます。

ハラスメントについてのとらえ方、ジェンダーなどについて、さまざまなズレが浮き彫りになり、変化が続きます。

ここ数年、さまざまな分野・職場でのハラスメントが社会問題になっています。

もし自分の職場で起きたら何ができるか。

この映画の展開に、そう考えずにはいられませんでした。

監督がキャストに設定を伝えたものの、実際のセリフは出演者に任されたという珍しい作品です。

4月16日から29日まで、東京・ポレポレ東中野https://pole2.co.jp/でアンコール上映されています。

上映館が広がることと、ハラスメントをなかったことにしない職場が当たり前になることを願いつつ、みなさんに鑑賞をお勧めします。

2022.04.16

就職したばかりだけど、職場がおかしいので退職したいという人へ

4月も半分が過ぎました。

 

3月に学校を卒業して、4月から新しい職場でがんばり始めた人も多いですね。

 

ただ、入職してみたら、休憩が取れない、不払い残業がある、パワハラがあるなどの問題に直面する場合もあります。

 

不安で誰に相談していいかわからない、仮に相談できる人がいても、相談された側もどうしていいかわからないという状況も…。

 

退職したい場合、どうしたらいいのでしょうか。

 

期間の定めのない雇用(無期雇用)による労働者側の退職は、民法という法律で、原則として2週間前に通知すればいいことになっています。

 

宮城労働局の資料でも示されています
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/library/miyagi-roudoukyoku/window/img/kiso_04.pdf
ただし、冒頭に示したように、休憩が取れない、不払い残業があるなどの場合は、違ってきます。

 

雇用契約書などの労働契約と実際の労働条件が異なる場合は、契約違反ですので、労働基準法15条により即時解除が可能となります。2週間前などの要件は必要ありません。

 

☆彡☆彡☆彡
労働基準法(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
☆彡☆彡☆彡

 

労働基準法の15条3項によれば、就職のために引っ越して、契約解除をしてから2週間以内に帰京する場合は、かかった旅費を請求すれば、法人の負担が義務となります。

 

そもそも、休憩が取れない、不払い残業があるなどは契約違反でもありますが、法律違反ですよね。

 

また、休憩は取れるし、不払い残業はないけど、パワハラがあるので退職したいというケースもありますね。

 

平均的な感覚から見てこれはおかしいと思える暴言などのパワハラがある場合は、使用者(事業所)として安全配慮義務(労働契約法第5条)を果たしていないと主張ができ、これも労働契約の即時解除が可能性が高いと言えます。

 

☆彡☆彡☆彡
労働契約法(労働者の安全への配慮)
第5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
☆彡☆彡☆彡

 

でも、新卒で就職した場合は、退職の経験がないわけですから、退職の手続きをどうしたらいいか、わかりませんよね。

 

「退職届」というタイトルで、上記の理由をもって退職する旨を記載し、職場・法人の責任者に提出すれば、それで十分です。受け取れない・受け取らないということは許されません。職場に行けない場合は、郵便局で配達証明の手続きをとって郵送すれば、相手に届いたことが証明できますので、送った・届いてないなどになりません。

 

「退職願」を出す人もいますが、願いは相手の許可がいるという解釈ができるので、「退職届」にしましょう。

 

今年3月に始まったマクドナルドのテレビCMで、部下(木村拓哉)が退職願を上司(段田安則)に渡そうとしているのに、上司はごまかして受け取らず、食事に誘うという場面があります。あれが「退職届」であれば、受け取らないことは許されません。

 

短期での退職は、のちの経歴に響くのではないかという心配をする人もいます。契約内容や法律を守らない職場で無理して続けるよりも、がんばれる土壌のある職場を探すほうがいいのではと思います。

 

 

2022.04.10

2022年4月パワハラ対策義務化 指導に大切な視点を考えあいたい

パワハラが社会問題になっています。

 

象徴的には、芸能やスポーツ、政治、官庁などでの出来事が報じられ、衝撃をもって受け止められています。

 

消防や自衛隊、役所など、公務員の処分の報道も相次いでいます。

 

保育園での管理職によるパワハラで、大量離職につながったケースも出ています。

 

私の所属する労働組合にも、保育園の職員などからパワハラ相談が多く寄せられています。

 

長時間叱責される、必要がないのに人前で叱責される、以前のミスを持ち出される、人格を否定される、聞いても答えてもらえないなど、精神的な攻撃が多いのが特徴です。

 

2022年4月、パワハラ防止法が全面施行され、法人の規模にかかわらず、パワハラ防止にむけた法人・事業所の方針の明確化、就業規則等への規定整備、相談窓口の設置などが義務化されました。

 

しかし、義務化にもとづく対策がおこなわれていない職場もまだまだあります。

 

厚生労働省は特設サイト「あかるい職場応援団」で、規定の整備にかかわる資料の提供や指導の改善にむけた動画の配信などをおこなっています。

 

厚生労働省 特設サイト「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

 

ただ、このサイトだけでは指導のあり方を見直す視点がわかりにくいと感じています。

 

ここ数年、私はパワハラ防止にかかわる研修を積極的に受講してきました。また、パワハラにかかわる労働相談も電話などで受けてきました。

 

研修内容や寄せられる相談事例からも、パワハラにならず、指導を効果的なものにするには、育成、改善、目的、配慮が必要だととらえています。

 

 

自分の感情を優先しないで、短所とともに長所にも気づいてもらう育成の視点、

 

抽象的でなく具体的な改善点を示して事後のフォローもおこなう改善の視点、

 

何のために指導をしているのか明確にする目的の視点、

 

人前での叱責は避ける配慮の視点、

 

この4つの視点を、職場で共有できているでしょうか。

 

これらを踏まえない指導では、うまくいかないのではないでしょうか。

 

一方で、若い職員が「指導を受けた」⇒「自分のやったことが否定されて傷ついた=パワハラだ」という受けとめも広がっています。

 

上記の4つの視点を踏まえつつ、人格を否定せずに行為に対する指導は徹底する必要があり、その指導はパワハラではないことを明確に打ち出すことも重要です。

 

パワハラは、被害を訴えている人の受けとめだけでなく、平均的な感じ方の人がどう感じるかという点が基準になります。

 

4月を迎え、多くの職員が新しい仕事に向かい、その職員たちへの指導が始まっています。

 

パワハラとは何か、指導で大切にする視点は何か、パワハラ防止対策の義務化を踏まえて、形式的なルールだけでなく、定期的に進捗や課題を話し合える体制をつくることが求められています。何のためにパワハラをなくしていくのか、指導を改善していくのかということも大切にしていきたいですね。

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