私が小学校高学年の頃、バレーボールはあこがれのスポーツだった。
バレーボール=女子のスポーツのイメージはあったけれど。
テレビでは、富士フイルムのCMが流れ、徳永英明の「輝きながら」がやさしく響く中、
富士フイルムの緑のユニフォームのバレー選手が輝いていた。
代表でも、富士の選手が主力で、センターは川合、エースは熊田かな。
意表をつく三橋の一人時間差やBクイックに何度も驚かされた。
その後、残念ながら日本の男子バレーは世界の高さの前に通用しなくなっていった。
一昨年、女子日本代表が世界選手権で3位になり、ふたたびバレーボールが注目されるようになってきた。
その躍進の立役者、眞鍋政義監督の著書が昨年2冊刊行された。
『精密力~日本再生のヒント』、『チームのスイッチを入れる。 カリスマじゃなくてもできる組織を変える55の戦略』
どちらも興味深く読めた。実社会での自らの成長にも「精密力」を生かしたいと。
そんな読後感が覚めやらない状況で、
日本バレーボール界の重鎮・松平康隆さん(元バレーボール男子日本代表監督)が亡くなった。
飛び込んでの「フライングレシーブ」では、あごの骨を痛めた選手も多かったそうだ。
また、一人時間差やクイックなどを生み出したのもこの監督のもとだという。
非常識を採用することを前提とするなかでの選手のアイディアと試行錯誤があったそうだ。
眞鍋監督も著書で、アニメ「アタックナンバーワン」の「木の葉落とし」や、サッカーのオーバーヘッドキック、そして「一人時間差」などにふれ、
ロンドンオリンピックにむけて「非常識を常識にするプレーを絶賛募集中」だとしている。
松平さんは、現在の男子バレー植田監督に「常識の延長には常識の結果しか出ない。非常識の延長に、とてつもない結果がある」と諭していたという。
眞鍋・植田両監督も、その影響をうけてきた。
松平監督率いる日本男子代表がミュンヘン五輪で金メダルをとったキーポイントになったひとつの時間差攻撃は、松本清張の推理小説「点と線」で松平さんがヒントを得たもの。
心に残るオリンピックシーン(JOCサイト)
ミュンヘン 男子バレーボール
『金色の夢舞台』への道のり ~長田渚左
http://www.joc.or.jp/scene/200904.html
昨年末に眞鍋監督の著書を読み、偶然とはいえ、年始に松本清張記念館を訪ね、そして松平さん逝去のニュースにふれた私。
何ともいえないつながりを感じる。
メディアにのせて、国際大会を日本で行い、人気を定着させようとした手腕の一方、そのワンマンぶりや金銭面で負の部分もあったとも。
いずれにしても、常識を疑うということの大切さと難しさ。
「常識の延長には常識の結果しか出ない。非常識の延長に、とてつもない結果がある」という言葉、意識していきたい。
◇時間差、クイック…ニッポンバレー築いた松平康隆さん死去
(2012/1/6スポーツニッポン)
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2012/01/06/kiji/K20120106002374600.html
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