明日11月29日告示・12月16日投票で東京都知事選挙が行われます。首都東京のリーダーを決める大切な選挙です。
私は、人にやさしい都政をつくる会の宇都宮けんじさんhttp://utsunomiyakenji.com/を応援しています。宇都宮けんじさんは日本のすべての弁護士約3万人が加入する日弁連(日本弁護士連合会)の会長をつとめた方です。
宇都宮さんを都知事にと、多くの市民と、政党・会派では、国民の生活が第一(11月28日に解党し、日本未来の党に合流)、日本共産党、社会民主党、東京生活者ネットワーク(東京都議会に議席を持つ会派)などが支援を決めています。
石原前都知事(現・日本維新の会代表)の後継指名をうけた猪瀬直樹・東京都副知事との事実上の一騎打ちです。元神奈川県知事の松沢成文さんも出馬表明していますが、去年の春の都知事選では、石原氏の後継として出ようとして最終盤になって取りやめ、今回は後継でないとしている点でその資格はないはずです。
◇「人にやさしい都政を」と宇都宮けんじさん
私は、「人にやさしい都政」を土台に宇都宮さんが【希望の政策4:安心して子育てできる東京へ】「保育所を増やし7000人もの待機児童をゼロに。給食費など義務教育の完全無償化を段階的に実現。就学援助の都独自基準を作ります。私立高校の授業料に対する都独自の授業料助成制度を拡充、私立高校の入学金助成を検討・実施します」などと掲げた約束にかけたいと思うのです。
働きつづけたいのに、保育所が足りなくて、それがかなわない。待機児問題は深刻です。待機児解消と言っても、そのすすめ方が猪瀬氏と宇都宮さんとでは決定的に違います。
◇子どもの権利を崩してきた猪瀬副知事
猪瀬氏は作家ですが、石原都政の副知事として働いてきました。2007年に副知事に就任し、国の地方分権改革推進委員会の委員もつとめました。公立・私立の認可保育所には子ども一人あたりに保障する保育室の面積(0歳児一人に3.3 ㎡など)や保育士の職員配置(0歳児3人に保育士1人など)などが厳格に定められています。基準をクリアすることで国が補助金を出すのです。猪瀬氏はその委員会で、その最低基準をなくし、自治体に委ねて切り下げることを認めるように再三迫りました。「極端に言えば、3.3 ㎡に2人、3人に入れても、待機児童がゼロになればいいわけです」(保育所面積の国の最低基準緩和を迫った地方分権改革推進委2009/3/25)とまで、言い切りました。この最低基準が国際的にもきわめて低いにもかかわらずです。
基準を崩して、自治体が直接運営したり、私立でも非営利の社会福祉法人が運営してしたりが大半の認可保育所に、営利企業の本格的な参入を促したい経済界や猪瀬氏らの圧力に押され、民主党政権は2012年4月から3年間の時限措置としながらも、東京など一部で、自治体の判断で面積基準を緩和していいという決定を行いました。
国が定めていた面積基準をさっそく崩す条例改定を行なったのが、石原都知事・猪瀬副知事の東京都、橋下市長の大阪市です。
◇子どもの権利の視点で詰め込み保育NO!
一方、この流れの論議のなかで、厚生労働省の委託をうけて全国社会福祉協議会が実施し、2009年3月に発表された面積基準の検証事業http://www.shakyo.or.jp/research/09kinoukenkyu.htmlでは「諸外国の保育所の基準に係る文献調査を行い、日本の保育所の面積基準について考察し、保育所における食寝分離の視点から、2歳未満児は1人あたり4.11㎡(現行は3.3㎡)、2歳以上児は2.43㎡(現行は1.98㎡)と現行より高い面積基準が必要という結果が導かれた」としています。つまり、国の最低基準でも子どもにとって改善が必要なのに、その逆の政策選択が行われたのです。
多くの保育関係者から懸念や反対の声が広がっていた一連の流れに対して、日弁連の会長として「子どもの成長発達権を侵害する保育所面積基準の緩和を行わないよう求める会長声明」(2012年4月4日)http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120404_2.htmlを出したのが宇都宮けんじさんなのです。
保育所面積の基準緩和については検証報道の動画http://youtu.be/4M3VfaCvFr4をぜひご覧ください。
◇保育のビジネス化をすすめてきた石原都政
そもそも、石原都知事は1999年に就任し、2001年には営利企業が駅前のテナントなどで保育施設を展開できる認証保育所制度が国の補助金を受けない東京都独自の制度としてスタートしました。園庭もなく、面積基準(0歳児・1歳児の一人当たり基準面積を3.3→2.5㎡に緩和)や保育士資格を持つ職員の割合(6割でOK)なども認可保育所より低く、駅ビル、居酒屋、コンビニの空いたあとに開設できます。契約も役所を介さずに園と保護者が直接行うほか、保育料も保護者の所得に応じたものではなく、基本保育料8万円を上限に、自由に園が設定できるのが特徴です。年収200万の世帯も、2000万円の世帯も同じ料金です。
東京都はこれをテコにして、「東京から日本を変える」(石原都知事のキャッチフレーズ)と国の認可保育所制度を変えること、保育ビジネスを展開させていくことをねらいとしてきました。一方で、認可保育所の増設やその担い手である保育士などの職員を支えることにはきわめて消極的でした。公立保育園の職員はその区市町村の公務員ですが、それに比べて私立保育園の職員は、同じ認可保育園でありながら、重労働の一方で待遇が低い上、都市部では延長保育や休日保育など勤務体系も複雑で、人が集まらないという状況が深刻化しています。経験年数の高い職員を抱える私立保育園には補助金を逆に引き下げることをやってきました。
認可保育所の増設を求める声に、「厚生省のいってる規格を適用しようと思ったら、こんな狭小で稠密な東京で保育所なんかできっこないですよ。ですから、金もかかるでしょう」(2005年3月16日 石原都知事・都議会答弁http://www.gikai.metro.tokyo.jp/netreport/2006/no_6/09.htm)という状況で、この都政の後継が猪瀬氏なのです。
いわゆる営利目的の極みといえる認証保育所の不正も追及されました。私のブログは共産党を応援しているわけではありませんが、参考としてリンクをはります。
認証保育所「小田急ムック成城園」の虚偽申請・補助金不正受給疑惑について
2008年9月29日 日本共産党東京都議会議員団
http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu5/2008/20080929143830.html
認証保育所における不正の疑惑と驚くべき実態について
2007年11月30日 日本共産党東京都議会議員団
http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu5/2007/20071130145717_2.pdf
認可保育所ではない認証保育所に働く職員は極めて待遇が低く、さらに定着できない状況です。東京都が2004年7月に示した東京都認証保育所実態調査では、職員の月収は18万円以下が84%、20万円以上は6%です。ボーナスなしの年俸300万円の職員もその6%に入っているのです。物価の高い東京都でこの水準です。その後の調査も明らかにしていません。低すぎて明らかにできないのでしょう。このような都政を続けていていいのでしょうか。
◇0歳の赤ちゃん5人に保育士1人!?
事実上の選挙戦が始まり、初めてのテレビ討論となった今年11月22日のフジテレビ「とくダネ!」で猪瀬氏は「0歳の赤ちゃん5人に保育士さん1人でもなんとかなるならいいじゃないか」と言い放ちました。国の最低基準で子ども3人に保育士1人と定めている基準すら、崩してもかまわないというのです。
この発言に、ツイッターなどでも「とんでもない!」「自分で0歳5人をみてみたらいい」などの憤りと困惑の声が保育関係者からあがっています。副知事を5年もやりながら、この実情です。この路線に、4年を任せる先に、何があるのでしょうか。
宇都宮さんは、東京都として子どもの権利を守ったうえで待機児ゼロにむけて、保護者と保育所職員を支えながら、保育所づくりをすすめてくれるはずです。
◇常に「子どもの貧困」、弱い人たちの権利と向きあって
宇都宮さんが会長に就任以降、日弁連は本格的に「子どもの貧困」と向き合う相談やイベントなど対策・事業を行ってきました。「子どもの貧困」状態が可視化されてきたのも、宇都宮さんの功績の一つと言っても過言ではないはずです。
会長就任前も、反貧困ネットワークの代表をつとめ、2008年末には、「派遣切り」で仕事も住居も失った人などを支援する「年越し派遣村」の名誉村長をつとめ、「上から目線」ではなく、当事者に寄り添う視線も記憶に新しいところです。
誰をも拒むことなく受け入れ、いのちを大切に排除しない姿勢・人柄があるからこそ、市民団体や弁護士、政党の支持も広がっているように感じます。
高すぎる金利、法外な設定などで多重債務に苦しむ人たち、オウム真理教事件の被害者などを守り、必要な法律の改正などを促してきた実績も十分です。
◇不正と闘い、正義を掲げ、やさしさを持つリーダーを
権利を掲げて、日本でもっとも暗いヤミとたたかってきた弁護士です。でたらめな融資などによって1000億円以上の税金出資が泡と消えた新銀行東京、行き過ぎた五輪招致の関連事業などのヤミがあるのかどうかも含めて、検証してくれるはずです。自民党・公明党と、日本維新の会があれだけ国政では言い合っているのに、都知事選ではいっしょに猪瀬氏を支援しています。何か裏があると思いませんか。
トップダウンで何でも決まる政治でいいのでしょうか。みんなが参加して、その声を現場で聞きながらリーダーが決断する。本物のリーダーシップが求められていると私は思います。
人の発言をさえぎったり、話を聞かなかったりする都知事が続いていいのでしょうか。笑ったと思ったら、人をバカにしている嘲笑。そうではなく、人の力になれた時、なれそうだと思った時に、希望が持てて自分もまわりも笑顔になるリーダーを。
私はそんな都政への希望を感じて、宇都宮けんじさんを応援しています。
(記:2012年11月28日)
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